アトピーの検査
診断の参考や悪化因子の特定、治療の効果判定のために次のような検査が行われています。
1.総IgE値
アトピー素因としても名前の挙がるIgEですが、アトピー性皮膚炎の方はこの数値が70~80%の方で上昇している傾向にあります。状態が悪い方ほど、IgEは高くなる傾向はありますが、20~30%の方は正常です。個々の患者さんでみると、必ずしも病気の状態に比例しないことも多く、長く病気にかかっている方では結果として増えてしまっているというようにもとらえられています。従ってIgE値の上下変動によって病状の判断とは言えないので、あくまで参考値として考えていきましょう。
2.RASTスコア
アレルゲン(アレルギーの原因物質)の検索で行われる検査で、各アレルゲン別のIgEスコアであり、0~6の7段階にスコア化されています。悪化因子の一つの目安として考えましょう。
総IgEの高い患者では多くの抗原に対してRASTスコアが上昇することがあります。その際にはすべてが病気を悪化させているとは考えがたく、一般的にはスコアが4以上のものに注目します。
3. 一般血液検査
白血球の一つの種類である好酸球の白血球全体の中での割合を測定します。これは皮疹の程度に比較的比例し、治療効果の目安となります。
LDHあるいはLDと記載されます乳酸脱水素酵素も上昇することが多く、発疹の状態と比較的よく比例します。(この酵素は健康診断などでは肝臓機能の項目に入っています。アトピー性皮膚炎の方で皮膚の調子が悪い時に健診を受け、この酵素が高いので再検査が必要という指摘を受ける方がいます。ほとんどの場合、肝臓が悪いということではなく、皮膚の炎症のために増加しています。)
4. 食物負荷試験、食物除去試験
ある食物がアトピー性皮膚炎の悪化因子となっているのかどうかを調べるための試験で、実際にその食物を食べてもらい、皮膚の状態を観察します。そして、実際に症状が変化するようであれば、逆にその食物を除去することで症状が改善するかどうかを調べます。